Vol.67
公開日:2024年12月13日
更新日:2025年2月4日
新耐震基準、旧耐震基準とは?改正はいつ?違いや築年数との関連性も解説!
その他
▼目次
耐震基準は家を建てる際に必要?
耐震基準とは
注文住宅を建てる際に、気になることの一つに「耐震性」がありますよね。地震大国日本では、家を建てるなら、しっかりとした耐震基準で建てられた家に住みたいと思うのは当然です。
そもそも「耐震基準」とは、一定の強さの地震に耐えられる建物の構造の基準のことです。建築基準法によって定められており、建物を建てる際には、この耐震基準を満たすことが義務付けられています。建築基準法は、建物自体を守ることが目的ではなく、人々の命や財産を守ることを目的として定められています。
耐震基準も、建築基準法同様、地震による被害を最小限に抑え、人々の安全を守るための重要な基準の一つとなっています。命を守ることが最優先であるため、建築基準を満たしている建物であれば地震発生後も必ず住み続けることができるとは限りません。
そもそも「耐震基準」とは、一定の強さの地震に耐えられる建物の構造の基準のことです。建築基準法によって定められており、建物を建てる際には、この耐震基準を満たすことが義務付けられています。建築基準法は、建物自体を守ることが目的ではなく、人々の命や財産を守ることを目的として定められています。
耐震基準も、建築基準法同様、地震による被害を最小限に抑え、人々の安全を守るための重要な基準の一つとなっています。命を守ることが最優先であるため、建築基準を満たしている建物であれば地震発生後も必ず住み続けることができるとは限りません。
新耐震基準の改正って?
耐震基準の改正とは
建築基準法自体は1950年に制定されましたが、その後、地震に対する知識や技術が進歩するにつれて、耐震基準は何度も改正されてきました。
特に大きな改正が行われたのは、1971年、1981年、そして2000年の3回です。1971年は旧基準、1981年は新基準、2000年での改正が2000年基準とも呼ばれます。
特に大きな改正が行われたのは、1971年、1981年、そして2000年の3回です。1971年は旧基準、1981年は新基準、2000年での改正が2000年基準とも呼ばれます。
【1971年】旧耐震基準
これまでは鉄筋コンクリート造の建物の耐震性が高いと考えられていましたが、1968年の十勝沖地震の発生により、建物が大破・倒壊し、大きな被害を受けました。これにより、鉄骨コンクリート造の住宅の耐震基準の強化が求められました。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
この改正で、今では大前提となる基礎の基準が見直されたことになります。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
- 鉄骨コンクリート造(RC造)の建物の耐震基準の引き上げ
- 木造住宅の基礎にコンクリートや鉄筋コンクリートを用いること
この改正で、今では大前提となる基礎の基準が見直されたことになります。
【1981年】新耐震基準
1978年の宮城県沖地震で1971年以降に建てられた建物でも被害が発生したことから、さらなる耐震性能の強化が必要とされました。新耐震基準では、地震による水平力を考慮した設計を義務付け、建築物の耐震性が大きく向上しました。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
この改正では、構造計算の概念が取り入れられるようになり、震度5程度の中地震では軽微なひび割れ程度、震度6強程度の大地震では崩壊しないように見直しが実施されました。地震時の建物の倒壊を防ぎ、人命を守ることが求められるようになりました。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
- 基礎の基準強化(保有水平耐力計算の実施)
- 地震の規模に対する基準
この改正では、構造計算の概念が取り入れられるようになり、震度5程度の中地震では軽微なひび割れ程度、震度6強程度の大地震では崩壊しないように見直しが実施されました。地震時の建物の倒壊を防ぎ、人命を守ることが求められるようになりました。
新耐震基準はいつから?
【2000年】2000年基準
1995年の阪神・淡路大震災では、新耐震基準で建てられた建物でも、被害が大きく出てしまったことから、さらなる耐震性能の向上、および建物の倒壊だけでなく、室内の被害を軽減するための基準が求められました。そのために、建物の構造のみならず、内装や設備の耐震性も考えられるようになりました。特に、阪神・淡路大震災で被害の大きかった木造住宅の耐震基準の見直しが求められるようになりました。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
この改正によって、木造住宅の耐震性をより高め、地震による被害を軽減されることが期待されました。
実際、2016年に発生した熊本地震での木造建築物の被害状況について、倒壊・大破した建物が旧耐震基準のものは約45%、新耐震基準では約18%、2000年基準では約6%でした。耐震基準が見直され、地震発生時の被害が減っていることがわかりますが、最新基準を満たしていても、絶対に安全とは言い切れません。新耐震基準以降に建設された建物も含め、建物の耐震性を高めていくことが重要です。
具体的には、主に以下の点が改正されました。
- 地盤に応じた基礎設計
- 接合部に取り付ける金物の使用規定
- 耐力壁の配置バランスの基準
この改正によって、木造住宅の耐震性をより高め、地震による被害を軽減されることが期待されました。
実際、2016年に発生した熊本地震での木造建築物の被害状況について、倒壊・大破した建物が旧耐震基準のものは約45%、新耐震基準では約18%、2000年基準では約6%でした。耐震基準が見直され、地震発生時の被害が減っていることがわかりますが、最新基準を満たしていても、絶対に安全とは言い切れません。新耐震基準以降に建設された建物も含め、建物の耐震性を高めていくことが重要です。
地震・耐力壁などの旧耐震基準と新耐震基準、2000年基準の違い
耐えられる地震の大きさ
- 旧耐震基準:数十年に一度起こる震度5程度の中地震に耐えることができましたが、それ以上の大地震では倒壊する可能性がありました。
- 新耐震基準:震度5程度ではひび割れ程度の損壊が起きても倒壊することはありませんでした。また、震度6強から7程度の地震でも倒壊により人が押しつぶされることがないような設計基準になりました。
- 2000年基準:震度6~7程度の地震でも倒壊しないことが求められるようになりました。一次設計では、主要構造部が地震に耐えられる力を測る許容応力度計算が必要になりました。また、二次設計ではこれまで以上に細かな構造計算が求められています。
二段階で耐震チェック
- 旧耐震基準:建物全体の耐震性能をチェックする「一次設計」のみでした。
- 新耐震基準:「一次設計」に加え、さらに詳細なチェックをおこなう「二次設計」が導入され、より安全性が強化されました。
- 2000年基準:新耐震基準の「一次設計」と「二次設計」に加えて、さらに詳細なチェック項目が増加し、より安全性が強化されました。二次設計では、構造種別や規模別など複数の方法に分けて計算がおこなわれています。
耐力壁の配置のバランス
耐力壁とは、地震や風圧で建物に横からかかる力を支えるための壁のことです。
- 旧耐震基準:耐力壁の配置については、それほど厳密に定められていませんでした。
- 新耐震基準:耐力壁の強化のために、床面積あたりに必要な壁量や壁の長さの規定が定められました。一方、耐力壁のバランスについてはまだ具体的に規定がありませんでした。
- 2000年基準:耐力壁のバランスが悪いと、弱い部分に負荷がかかり、倒壊の恐れがあります。そこで、耐力壁の配置バランスを細かく計算することが求められるようになり、科学的かつ効果的な耐震設計をおこなうようになりました。
地盤調査・床・接合金物などの旧耐震基準と新耐震基準、2000年基準の違い
地盤調査後の基礎構造
地盤と耐震は大きな関わりがあります。地盤が弱いと、地震の揺れに比例して地盤の揺れも大きくなります。また、住宅自体の重みで建物が不揃いに沈む「不同沈下」を起こすこともあります。
- 旧耐震基準:地盤調査は義務付けられていませんでした。
- 新耐震基準:地盤調査を実施するようになりました。
- 2000年基準:地盤調査を行い、その結果をもとに、それに見合った基礎構造にすることが義務付けられました。
床の剛性(硬さ)
耐震性を高めるためには、床の剛性も重要になります。地震に耐えられる壁が求められるようになりましたが、壁を支える床も揺れによる変形に耐えられる強度がなければ壁は倒れてしまいます。
- 旧耐震基準:床の剛性に対する基準は設けられていませんでした。
- 新耐震基準:壁の耐力は重視されるようになりましたが、床の剛性に対する基準はまだ設けられていませんでした。
- 2000年基準:床の剛性について初めて基準が定められました。
接合金物の厳格化
- 旧耐震基準:接合金物の仕様について厳格に定められていませんでした。
- 新耐震基準:新耐震基準でも基準は定められていませんでした。
- 2000年基準:接合金物の種類や強度、金物の使用箇所に関する基準がさらに厳格化され、より安全性が向上しました。阪神・淡路大震災の発生でつなぎ目に使用していた金物が抜け、倒壊が起こったことが教訓となっています。
耐震性について心配しないためには
地盤の強い土地を探す
地震に強い家を作るためには、地盤の強い土地を選ぶことが大切です。自治体が提示しているハザードマップなどを確認し、地盤が強い土地を確認しておくことで、より安心できるでしょう。
また、すでに地盤調査が実施されている土地を選ぶことも方法の一つです。
また、すでに地盤調査が実施されている土地を選ぶことも方法の一つです。
接合部の強化、耐力壁を増設する
主要の接合部に金物を使用するなど、構造を強化することで、耐震性は高くなります。また、耐力壁を増やすことで、地震力に対する抵抗力を高めることができます。
住宅の間取りを考えるときに構造に不安な点があれば、担当の設計者に相談してみましょう。耐震性を考慮しつつ、自身の希望も叶えた間取りを実現できるかもしれません。
住宅の間取りを考えるときに構造に不安な点があれば、担当の設計者に相談してみましょう。耐震性を考慮しつつ、自身の希望も叶えた間取りを実現できるかもしれません。
建物の重量を考える
建物自体が重くなると、耐震性は低くなります。そのため、建物の重量を軽くすることで、地震時の揺れを小さく抑えることができます。
重量の軽量化の例は下記のとおりです。
1階は2階と屋根の両方の重量を支える必要があり、高い強度が求められます。2階をリビング、1階を個室にすると、1階の壁が多くなるため、1階リビングよりも屋根や2階の重さを支えることができます。
重量の軽量化の例は下記のとおりです。
- 屋根を瓦からストレートにする
- リビングを2階にする
1階は2階と屋根の両方の重量を支える必要があり、高い強度が求められます。2階をリビング、1階を個室にすると、1階の壁が多くなるため、1階リビングよりも屋根や2階の重さを支えることができます。
第三者に検査を依頼する
耐震性が心配な場合は、検査だけを請け負うような第三者の専門業者に依頼して、工事中の様子を確認してもらうことをおすすめします。複数の専門家の目でチェックすることで、より安全な住宅を建てることができます。
ただし、建設会社とは別の業者に検査を依頼する場合は、信頼関係を崩さないために、事前に建設会社に許可を取るようにしましょう。
ただし、建設会社とは別の業者に検査を依頼する場合は、信頼関係を崩さないために、事前に建設会社に許可を取るようにしましょう。
耐震性に関するよくある質問
築年数でどの耐震基準が適用されているかわかる?
築年数から、基本的に建てられた当時の耐震基準に基づいて建てられていると考えられます。新耐震基準は1981年6月1日以降に施工されているため、それ以降の建物は基本的に新耐震基準に基づかれていると考えられます。
しかし、具体的な耐震性能は建物ごとに異なるため、気になる場合は、耐震診断を受けることを推奨します。
しかし、具体的な耐震性能は建物ごとに異なるため、気になる場合は、耐震診断を受けることを推奨します。
震災時に揺れやひびが見られなかったためもう心配いらない?
南北方向と東西方向で、揺れに対する強さに差があります。そのため、震災に実際に耐えることができても、絶対に大丈夫とは言い切れません。
万が一の備えとして、耐震診断を受ける、プロの設計士に確認してもらうなどを行い、家の耐震性能を把握しておくことが大切です。
万が一の備えとして、耐震診断を受ける、プロの設計士に確認してもらうなどを行い、家の耐震性能を把握しておくことが大切です。
2000年の改正による木造住宅への影響は?
2000年の改正により、接合部に使用する金物の具体的な指定がおこなわれ、耐力壁の配置に関しても詳細な基準が設けられたことで、木造住宅の安全性が一層強化されました。
特に、接合金物の使用や耐力壁の配置について基準が設けられたことで、地震時の建物の倒壊リスクが軽減されました。
特に、接合金物の使用や耐力壁の配置について基準が設けられたことで、地震時の建物の倒壊リスクが軽減されました。
耐震基準を満たしていない古い住宅ってどうなる?
耐震基準を満たしていない住宅は、地震時に大きな被害を受ける可能性が高く、最悪の場合、倒壊する可能性もあります。このような中古物件を購入する際にローンの審査が通りにくくなる、税制の優遇処置を受けられなくなるなどの可能性があります。
もし、自分が住んでいる家が耐震基準を満たしていないとわかった場合は、耐震診断と耐震工事をおこない、安全性を高めることを推奨します。
もし、自分が住んでいる家が耐震基準を満たしていないとわかった場合は、耐震診断と耐震工事をおこない、安全性を高めることを推奨します。
注文住宅購入時に耐震基準を意識して安全で理想の家を見つけよう
注文住宅は、自分たちの理想を形にすることができ、夢が詰まっています。しかし、地震大国日本では、耐震性も家づくりの重要な要素の一つです。この記事で解説したように、耐震基準にはさまざまな種類があり、それぞれの基準で求められる性能も異なります。注文住宅を建築する際には、耐震基準について理解し、耐震性の高い、安全で快適な住まいを実現させましょう。
ポラスでは、オリジナル構造計算ソフト「ウッド・イノベーターNEXT」というポラス独自の倒壊シミュレーションを全棟で行っています。間取りを元に実際に建てる家を3Dで再現し、実際に起きた大地震と同じ揺れに耐えることができるか、揺れに弱く、補強が必要な箇所はどこかを設計段階で確認することができます。
自由度の高いデザインを実現しながらも、耐震性も追求できる家づくりが可能となりました。耐震性もデザインもどちらも妥協しない家づくりがポラスのこだわりです。
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