Column 住まいのコラム

Vol.49

2022年7月12日

敷地を有効に生かす3階建て! 大きなメリットを引き出すには

デザイン・間取り

暮らしの可能性がふくらむ3階建てプラン

敷地は限られているけれど、どうしても家族みんなで広々と暮らしたい。そんなときに有効なのが3階建てのプランです。以下のような敷地、要望をお持ちの方には特にお勧めです。

〇敷地が狭く、2階建てでは必要な床面積が確保できない
 →3階建てにすることで1層分の生活空間の余裕が生まれます
〇周囲に建物が密集していて日当たりがよくない
 →日当たりのいい2階や3階にメインの生活空間を配置できます
〇家族それぞれのプライバシーを尊重したい
 →2階にリビング、1階と3階に個室を振り分けることで、お互いの時間を大切にできます
〇ビルトインガレージがほしい
 →2階と3階に生活空間を計画して、1階をガレージにあてるプランが可能です
 
 1層分の高さと広さがライフスタイルを大きく変えてくれます。敷地のポテンシャルを最大限に引き出す3階建てプランなら、暮らしの可能性も大きくふくらませることができるのです。写真の事例ではビルトインガレージを設置。敷地を有効に活用しています。

3階建てのよさを生かす設計の工夫も重要

 暮らしの夢を広げてくれる3階建て。でも、その一方で次のような懸念を持っている方もいらっしゃいませんか?

・家事のたびに階段を上り下りするのは大変そう
・室内が縦に伸びる分、冷暖房の効きが悪いのでは
・うちの敷地は法的に3階建てが可能なのか
・日当たりのいい3階は暑そうだし、1階は暗いのでは
・3階それぞれに家族が分散すると会話がなくなるのでは

 生活空間を3層に分けるということには、メリットだけでなく、デメリットも確かにあります。ただし、そうした注意点を考慮した設計をすることで、3階建てならではの支障を感じることなく、むしろ長所に変えた空間に仕上げることが可能になります。
 たとえば、浴室やキッチン、ランドリースペースなどの水廻りを同じ階にまとめることで、家事はワンフロアで完結し、無駄な階段の昇降は最小限に抑えられます。また高気密・高断熱の仕様を取り入れれば外気の影響を受けにくくなり、冷暖房の効率も高まって各階の気温差も気にならなくなります。日当たりのよくない1階に主寝室、明るい2階にリビング、眺望のいい3階に子ども室といった各階の特長を生かした間取り計画も可能です。
 階段は確かに人の行き来を妨げるバリアにもなりますが、逆に2世帯住宅の場合は、1階は親世帯、2階は共有のLDK、3階は子世帯といった具合にほどよい距離感を保つ設計を生み出すこともできます。設計の工夫しだいで、3階建てのメリットを十分に引き出すことができるのです。

法的制限も考慮したプランニングにはノウハウが必要

 敷地にはそれぞれそこでつくってよい建物が法的に定められており、高さや面積、構造などが細かく規定されています。3階建ての場合、主に、建ぺい率・容積率、高さ制限、斜線制限(屋根の角度等を調整して建物と建物の間に空間を確保し、日照・採光・通風を妨げないための制限)などが関係してきます。
 高さ制限などでどうしても3階建てが難しい土地もありますが、そうしたケース以外では、敷地の法的制限を踏まえながら設計を工夫することで、3階分の生活空間を最大限確保することが可能です。
 写真は周囲に住宅が密集した変形敷地に建つ3階建ての例です。土地の最小間口が6mを切る細長い敷地であり、面積的にも法的にも制限された条件の中で、中庭やバルコニーなどを取り込んで、明るく広々とした空間をつくっています。
 また3階建ての場合、より強固な耐震性も求められます。この先、安心して住むためにも、確かな構造設計、精度の高い施工力も必要です。3階建てこそ、プロの腕の見せどころ。3階建ての実績が豊富な会社に依頼したいものです。


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