Vol.14
2016年7月20日
『省エネ住宅の大本命?「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及が本格化』

『省エネ住宅の大本命?「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及が本格化』
2016.4.28up
省エネ・創エネ住宅がこれからのスタンダードに
「毎月の光熱費を抑えたい」「できれば環境負荷の少ない暮らしがしたい」という思いは、暮らしのコストやエコに関心の高い現代人の多くが抱いているのでは。そうした思いを実現する手立てに、近年普及の進む住宅の省エネルギー化があります。なかでも先端を行くのがネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(以下、ZEH/ゼッチ)。省エネしながら自家用のエネルギーを創る家なら、環境負荷が少ないうえに日々の光熱費をぐっと抑えられるはずです。
国内のエネルギー消費量をみると(※1)、産業部門に比べて住宅などでの削減率が低い状況。住宅の省エネルギー化が求められるなか、国では「2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現」「2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現」という目標を掲げています。ちなみに、「標準的」となるには、住宅会社などがつくる新築住宅の過半数がZEHであることが必要です。 建替えを思い立ったら確認しておきたいポイントをピックアップ。「建替えたい」を実現するために、今すぐ起こせるアクションを提案します。
目標の実現に向けて4月からは2016年度のZEH支援事業(※2)がスタート。家づくりを検討している人は、今後さらに普及が進みそうなZEHを改めてチェックしておきましょう。
※1 経済産業省「ZEHロードマップ」我が国のエネルギーの現状
※2 平成28年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)
そもそもZEHって何のこと?
ZEHとは一次エネルギー(※3)の年間消費量が正味(ネット)ゼロになる住宅のこと。建物の高断熱化や高効率設備によって住宅の省エネルギー化を進め、さらに太陽光発電システムなどの創エネルギーシステムで自家使用のエネルギーを100%以上まかないます。
自宅で使うエネルギーを実質ゼロにできるので、光熱費の低減はもちろんエコ意識が高まるなど家庭におけるメリットは大きいでしょう。その一方で、太陽光発電システムや家庭用蓄電池などの先進的な省エネ技術の導入には高いコストがかかることも事実。ZEH導入に関心のある人は、消費税率のさらなる引き上げによる影響が少ないうちに、補助金の実施動向もチェックしながら検討を進めることをおすすめします。
※3 石油、天然ガス、太陽エネルギーなど自然界から得られるエネルギー。住宅では空調(冷暖房)・給湯・換気・照明設備に係る一次エネルギー消費量。
超省エネ住宅は補助金を使って賢く建てる
国による支援事業ではZEHの要件(※4)を満たす新築または新築住宅の購入、既存住宅の改修に対して補助金一律125万円(寒冷地特別外皮強化仕様は一律150万円)が交付されます。また、要件を満たす蓄電システムの導入には補助金額の加算もあります。
なお、ZEHの一般公募前に住宅会社などと建築請負契約を結んだり建物を着工した場合には、補助金交付の対象にはならないので要注意。2016年度の一般公募は4月下旬(第1次)から9月初旬(第6次)までです。
また、補助金を申請する際には重複に注意しましょう。国による補助金は、同じく国からの他の補助金と併用することはできません。自治体による補助金との併用は原則可能ですが、国庫を原資とする補助金もあるので事前に自治体窓口で確認しましょう。
住宅会社なら誰に頼んでもZEH申請できる?
ZEHを検討する場合、注意しておきたいのは家づくりを「誰に頼むか」ということ。今年度から、「ZEHビルダー(※5)」の登録会社が設計、建設または販売を行うことが申請の要件となります。逆に、ZEHレベルの省エネ住宅を建てても、ZEHビルダーによるものでなければ申請することはできません。
住宅会社などによる登録も随時進んでいるので、まずは住んでいる地域や気になる会社の情報を中心にチェックしてみては。なお、ポラスの注文住宅部門はすでに登録されています。その他ZEHビルダーの一覧は、支援事業のポータルサイトを運営するSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)のウェブサイトで公表される予定です。
※5 ZEHビルダーとは(一般社団法人環境共創イニシアチブSII)
住宅の省エネルギー化が暮らしを変える
2020年には小規模な住宅についても「省エネルギー基準適合」(※6、7)が義務化されることもあり、これから家を建てる人にとっては住宅の省エネルギー化は避けられない課題となります。
エネルギー消費を抑えながら冬暖かく夏涼しい家で過ごせたなら、気持ちにも家計にもゆとりができるはず。ZEHの普及などで省エネ住宅が高コストというイメージを脱して、当たり前の家になる日もそう遠くないのかもしれません。いざ家を建てるときに、よりスマートに省エネ住宅を実現できるように今から準備しておきたいものです。