Column 住まいのコラム

Vol.7

2014年12月5日

『来る2015年、相続税や贈与税制の改正が家づくりに与える影響とは』

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Vol.07

『来る2015年、相続税や贈与税制の改正が家づくりに与える影響とは』

2014.12.05up

年末年始、家族で話し合いたい「(実)家」のこと

贈与税

家づくりのきっかけが、子供の誕生や入学という人は案外多いもの。ちょうど同じ頃、実家の老朽化や高齢になっていく親の暮らしにも、徐々に現実的な対応が求められるようになります。親から住宅取得資金の援助を得て、実家の近くに住む近居を選んだり、実家を二世帯住宅に建替えたり。皆が満足できる理想の暮らし方は、家族の状況によってさまざまです。

家族が集まる年末年始は、先々の実家のあり方や家族の暮らしを話し合う良い機会。2015年から施行される相続税制の改正など、家族の将来と住宅取得に関係の深い情報を事前にチェックして、実りある話し合いに役立てましょう。

2015年の相続税制改正で課税対象者が急増?

2015年1月から、相続税の基礎控除額が現在の6割に引き下げられます。そのため、地価の高い都市部では、相続税の課税対象者が大幅に増える見通しです。
【現行】5,000万円+1,000×法定相続人の数 → 【改正後】3,000万+600×法定相続人の数

増税

→ 国税庁『相続税のしくみ』を詳しく見る

そうしたなか、実家の建替えなどで、親の所有する土地に二世帯住宅を建てる動きも。相続税の『小規模宅地等の特例』により、要件を満たす二世帯住宅などにおいて、相続の対象となる宅地部分の評価額が80%減額されるため、相続税対策のひとつとして注目を集めそうです。

ここで留意したいのが、二世帯住宅の登記方法。1階と2階など、世帯別に専有部分の登記を行う「区分登記」の場合、出資額に応じて親子それぞれで住宅ローン減税を受けられるなど、税制面のメリットがあります。

いっぽうで、相続が生じたときには、特例が適用される宅地面積が区分の割合に準じて減ってしまうことに。相続税対策を重視するなら、住宅メーカーや住宅ローンを提供する金融機関の担当者に相談し、親子の「共有登記」や親の「単独登記」を検討したほうがよいでしょう。なお、特例の対象となる宅地面積の上限は、2015年1月から、現行の240㎡から330㎡に拡大されます。

贈与により住宅取得資金の援助を受けるなら

贈与

両親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合には、一定の要件を満たしたうえで『贈与税の非課税』が適用されます。2012年から実施されている現在の非課税制度は、2014年12月31日までで終了する予定ですが、来年度以降の延長・拡充に関する要望が国土交通省から出ていることもあり、今後の制度のあり方に注目したいところです。

ちなみに、現行制度の非課税限度額は、所得額や住宅の床面積等に要件はありますが、断熱や気密性能、耐震等級等が一定の条件を満たす省エネ住宅等の取得なら1,000万円(一般的な住宅の場合は500万円)となります。

→国税庁『住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし』を詳しく見る

ほかにも、贈与のあった年毎に110万円の基礎控除を行う『暦年課税』や、生前贈与に対して最大2,500万円の特別控除を行う『相続時精算課税』など、贈与に伴う課税方法を選択できます。

→国税庁『贈与税のしくみ』を詳しく見る

なかでも相続時精算課税は、まとまった財産の贈与を必要なときに非課税で受けられる印象があります。しかし実際には、相続が生じたときに相続財産に贈与財産を加えた価格に相続税がかかることになります。2015年からの相続税制改正で基礎控除額が大幅に縮小することを考えると、選択には十分な検討が必要に。贈与により住宅取得資金の援助を受ける際には、当然のことながら相続税対策も視野に入れた計画が求められます。

将来を見据えた話し合いが大事。仲介役に営業マンや専門家も

普段は話しづらい、土地や資産の相続を考慮したリアルな将来計画も、年明けに施行される相続税の改正を受けて、タイムリーな話題として扱うことができそうです。

ローンコンシェルジュ

とはいえ、住宅取得資金の援助や、新築あるいは実家の建替えによる具体的な暮らしのイメージの共有など、家族だけで話を進めるのは難しい場合も。そんなときは、住宅メーカーの営業マンや専門家を交えて話してみるのも一案です。専門知識と家づくり経験のある第三者が仲介役となることで、正確な情報とともに、家族それぞれの思いに折り合いをつける住宅例や暮らし方のヒントを得ることができるでしょう。

ローンコンシェルジュ

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